10/24/2008

Eat at hearing #4

















昼の日差しから逃れたこの場所は、劇場の入り口に似ている。
私たち3人は今、とあるレストランのエントランスにいる。
この場所はまだ明るい。
クラヤミ食堂のエントランスである。

リザヴェイションした名前がそれぞれに呼ばれ、清潔感のある
20代半ばの女性にされるがまま目隠しをされる。
その目隠しはもちろん「 だーれだ ;) 」をする時の彼女の白い手ではなく、
寸分の光も漏れないように推考された特製のクラヤミアイマスク。

いきなり何も見えないので、発する声だけが宙に浮き心理を伝える。
初めての出来事に対面したときにおとずれる
緊張と不安、好奇心と興奮が入り混じったなんともシンプルな一言、「ほーんとに真っ暗!」。
発した声のボリュームが独り言の枠をあっさりと超える。

仲のいい女の子が自分の目の前で目隠しをされる様を始めて見た。
そのデイヴィト・リンチ的光景に胸が少しざわつく。
子供の頃、何者かを守ろうとして
「やめてー!」と叫んだ正義感みたいなところが少しだけ疼いた。
ものの5分でトラウマと直面するのもなんなんで、
気を取り直して、もうひとつの気持ちにスウィッチング。
マイちゃん何で目隠しされてんの?
おかしくない?いや、おかしいって。
あっ、わかった。ハプニング。
フルクサスだ。好き好き。


「それでは、ご案内いたします。私は正面に立っておりますので
正面に向かってゆっくり両手を出していただけますか?」

私の案内される番になり、アテンドしてくれる
まっすぐな黒髪をまとめた透明な女の子の声の前に立つ。
触れることでわかった細い指が連なる手のひらの上に
暗闇の中、ひらりと自分の左右の手は着陸した。

厚手で重量感のあるドレープのきいたカーテンが女の子の手で開かれる。
その時、カーテンの開ける音がしたわけではなく、
エントランスにいた時に見た風景が頭の中で地図を作り、
そのイメージの中にあるカーテンが開かれて、実際にサルサが聞こえてきた。

クラヤミ食堂の中にそろーりと足を進める。
手をひかれ見えないテーブルと椅子の隙間をぬって声のするほうへと歩いた。

「お席に着きました。後ろに椅子がございます。お座りください。」
まるでフィフスエレメントのブルース・ウィルスよろしく
オートマティク システムの中で立って、腰を下ろしたときには椅子に着席していた。
店内にかかっているサルサに導かれて、
いつの間にか、ぶらりと1人でやって来たメキシコのカンクンにあるビーチホテルのテラスで
サンセットを眺めながらの早い夕食をとる私。のイメージをしばし楽しむ。

レストランの奥ではハウスバンドがにこやかにサルサを演奏している。
時々、アイコンタクトに交わって一人旅を紛らわす。
初めてのカンクン。
始めて訪れたラグーン。
初めて聴く曲。
初めて見る人々。
カリブ海から流れてくる風は背の高いヤシの木々を大きく揺らす。
白い砂浜に青い点を並べたいくつものビーチパラソルが明日の予定を決め付ける。
「明日は赤いラルフのビキニ。ビーチで、本を読もう。」

音楽に身を任せ、体でリズムを取る。

「こんばんはー。誰かいますかー?」
不安げな女性の声で、クラヤミ食堂へ引き戻される。

「いますよー。多分、声の感じだと私はあなたの左向かいにいます。
他にはどなたかいらっしゃいますかー?」
「はじめまして。私は多分あなたの隣にいると思います。」
ホントン二ィー?男性の声だったがちっとも気づかなかった。
「良かったー。私、多分最初に案内されて、一人でいる時間が
長かったから、不安になっちゃってー。今もすごくドキドキしてます:(。」
今にも泣き出すか叫びだすかしそうな不安を抱えた女性のモノローグ。

「大丈夫ですか?私は店内にかかっているサルサに導かれて
今、カンクンのビーチハウスにいます。ここは気持ちがいいですよ。
どうでしょう?この際、想像で行きたい場所に行かれてみては?」

「いいですねー。私は、モンテカルロに行きたいなー。
モナコはいいですよー。」と今までいることがわからなかった男性。

「私は、北欧がいいです。。。あー。でもダメですね。
まだ不安に負けちゃってます。雑貨が好きなんですけど。。。」」
暗闇にやられてしまったご様子。

がんばれ!右斜め前の女性!あともう一息!!!


続きはまた今度;)
明日は晴れるかな?
Hav a goog weekend!

MariMari

10/14/2008

Eat at hearing #3



City girlsの共同幻想、
普段は「大体ね、ヒールが7cm以上ないとshouseって呼ばないの。」が
ときどきやってくるヒール3cm以下の気分。
ある一定の条件が揃ったときにだけそんな気分になる。

昨日寝る前に読んでた本が事のほかよくて
夏の始まりに冗談みたいに晴れた日に、
天気予報は南から吹く風を示していて1日中雨の振る心配がない、
ケーブルのウェザーチャンネルで
行きたい国の天気を全部見なくちゃ話が始まらないって
うっかりシャワーを浴びる時間がショートカットになった休日で、
毎日確実に日差しが強くなっていることを
窓を開けたバスルームに差し込んだ光で確認して、
いつもと違うことがしたいなってところに、
電話で急に呼び出されて、
お昼からの外出で、
足がむくんでなくて、
顔もむくんでなくて、
ちょうど外出向きのRB のMix cdが
もはや天然記念物指定の
白いCD WalkMan「ジュゴン」にセットされていて、
ボーイフレンドとのデートの予定がなく、
親戚みたいに、
気心の知れた、
女の子とデート。

今日がその日ってわけ。
結構レア。

Floatin' 3cm girl s mix

1.What We Do Here /Brian McKnight
2.If I Was Your Man/Joe
3.Do You Mind/Marques Houston
4.Interlude /MusiqSoulchild
5.Newness /MusiqSoulchild
6.Whatever You Do/Shayna Steele
7.Lost Without U /Robin Thicke
8.Haiti (Interlude) /Gaelle
9.Falling /Gaelle
10.Cool Me Down /The Black Seeds
11.Callin Yu /Steve Spacek
12.Dollar /Steve Spacek
13.Take a Message/Remy Shand
14.Alright With Me (feat. D Minor & Phonte of Little Brother)/Keelay & Zaire
15.Honey/Erykah Badu
16.Ordinary Joe (Live) /Terry Callier
17.today the Sky Is Blue and Has a Spectacular View./Tickles

家を出て待ち合わせの赤坂サカスまで
気象上の南東の風と
音楽から吹く涼やかな風に心が吹かれていた。
まだ、と思うときもあれば。もう、と思うときもある。
35年間、そこがどこであっても
私はそこに吹く風をよくよく味わう。

それはこの天体に流れる気流のことでもあるし、
音楽、一曲のそれぞれがまとう、「風」のイメージでもある。
そして、自分自身の感情が生み出す「風」のことでもある。
それが複合的に交わるとイメージの連鎖から吹く「風」が流れる。

私は、それらの風が紡ぎ語る物語を
視覚的にイメージすることのヘビーユーザーで
同時に踵の低い靴で見るいつもと少し違う視界を楽しんでいた。
様々なイメージに自分を置き、疑似体験する。
それらのイメージソースは以前の出来事だったり、
まだ体験する前のできごとだったりした。
熱風も涼風も、また凪ぐ瞬間も気持ちの赴くままに味わう。

少し早く待ち合わせの場所に着いたので
サカスの中をチェックして、コーヒーを買った。
広場へ戻ると彼女が到着した頃だった。

今日の彼女はspreeで買った白いmaxi dressを着ていて、
風をふくんだシルクの生地に体を泳がせていた。
他者が見ていて気持ちがいい服があるとすれば
今日の彼女、マイちゃんのdressがそれだ。
とても似合っている。

「天気いいねー。
住吉さんとは、現地集合。行こうか;)」
住吉知恵さんはアートライター。
J-waveなどで国内外問わずアートの動向についてコメンテーターとして
ご活躍されている女性である。

10分も歩かないうちに
「ここを曲がって、あったー!」
クラヤミ食堂の看板を見つける。
ちょうど看板の下の入り口には黒いエプロンをつけた
Yさんがお腹の前で手を重ねて笑顔で立っている。
「いらっしゃいませ。」

とその声色はいつも通りでも、クラヤミ食堂の人になりきっている
距離感がすでに楽しい。普段は博報堂の人だけどこのプロジェクトに
参加している。

「いいじゃーん。黒いエプロン似合ってる!
今日はお招きいただいて、ありがとうございます;)」
「いいね。 いつもと反対で、こういうのもいい!
ご招待頂いて、ありがとうございます;)」

黒いエプロン姿の男性1人、なにやら盛り上がってる女子2人。
遠くでこの立ち話を通りすがりの
上京したばかりのフレッシュマンがみかけたら
絡まれているなら、助けなければだし(その人は過去、生徒会長経験者)
モテならば、羨望のまなざしだったであろう。(とにかく、モテタイ)
遠くからケータイでもかかってきた振りをして
動向をうかがうみたいな景色。
女子が笑顔であることを確認すると
「モテ」的であることがわかり
「あれ、メンノンでは、クラシックな黒縁メガネだって読んだのになー。
黒エプロンもキテるんだー」って景色。

「あなたたち、なんか、おかしいわよ。」
とクールビューティーな住吉さんも登場して、
いよいよクラヤミ食堂のなかへ!

続きはまた今度
I ll be back soon;]

ciao!
MariMari

10/09/2008

Eat at ahearing #2

元気??

私のblogに対する無知度は相変わらずで
このblogの名前をつける時、
最近のテーマCapelight,Bigcityにしたんだけど
どうやらMariMari blogじゃHitしないみたいですね:(

「Mariのblog見つかんないんだけどー!」って最近よく言われます:(
そんなときは決って
「adressにMariMariって入れたほうがいいよー。」ってアドバイス貰います。
そんなときは私は
「MariMari Jungleって入れてください。Linkがあります;)」って答えてるんだけど。
やっぱりadress変えるべきかしら??
What do u think??





又明日って言ってたクラヤミ食堂の話。
「Mari、またどっか行ってたの?」と質問が聞こえてきそうな随分のタイムラグを迎えて
「どこかになんか行ってないわ。ただ夢を、みてたのよ ;) 。」とdaydreamer振りを発揮しつつやっとつづきを。

五感(ごかん)とは、動物やヒトが外界を感知するための多種類の感覚機能のうち、古来からの分類による5種類、すなわち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をさす。この伝統的な分類を前提として、人間の感覚全体を指すために「五感」という表現が用いられる場合もある(「五感を鋭くする」など)。
学問的には現在では感覚には少なくとも9種類はある、と大方認められており、細かく分類すれば20余りある、とする説明もある。触覚と呼ばれているものは、生理学的には体性感覚と呼ばれるものにほぼ相当すると思われるが、体性感覚は決して単純に皮膚の感覚を脳に伝えるものなどではなく、表在感覚(触覚、痛覚、温度覚)、深部覚(圧覚、位置覚、振動覚など)、皮質性感覚(二点識別覚、立体識別能力など)など多様な機能を含んでいる。

それ以外にも感覚には内臓感覚、平衡感覚などが存在する。

(Sence五感/Wikipediaより)
食べ物のおいしさは、味だけで決まるのではありません。におい、口当たり、食べるときの音・・・。そして、もっとも重要なのが、見た目です。
食べ物がおいしいかどうかを決めるのに、味覚が果たす役割は10〜20%で、80〜90%は視覚によって左右されるといわれています。わたしたちは舌よりもむしろ目で食べているといっていいほど、食べ物や食卓の見た目に影響を受けているのです。

(色のまほう おいしい食卓をつくる〜「食べる」を楽しむための配色術 より)

ゲイリーは熱いコーヒーを飲みながら、婚約したいきさつを語った。コーヒーショップの窓ガラスは水蒸気で曇っていて、わたしは話をききながら、そこに小さな生き物を描いた。

(結婚式My Wedding/いつか私に会いに来てCame up and see me sometime/エリカ・クラウスErika Krouseより)

「どうしようもないんだよ。自分の好みならきっちりわかっている。インド料理ならチキン・チカ・マサラ。音楽なら女性シンガーソングライターで、服なら紺か黒。」 僕はくるりと向きを変え、まっすぐジニーの瞳を覗き込んだ。

「そして、女性なら君だ。」

(サーティーブルーTurning 30/マイク・ゲイルMike Gayleより)



分厚い白木のカウンター越しに、その夜もHer space holidayを聞きながらMy girl Maiの作る安全で暖かくおいしい食事に手を運びながら、いつも決ってオーダーする白いハウスワインで饒舌になった男性が語る興味深い話が繰り広げられていた。

「それでね、目隠しをして食事をするわけ。聞いたことあるかな?「ブラインドレストラン」って。1966年にベルリンで始まって、今はパリ、ロス、、オーストラリア、上海にブラインドレストランがあるんだけど。実際、自分の手も見えないほど真っ暗らしいよ。それをね、実は僕たち期間限定でやってるんだ。目隠しをして。盲目の方たちがナビゲートするダイアログ・イン・ザ・ダークもあるんだけど、僕たちは暗闇で食事をする、視覚を遮断した体験を提供してるんだ。今回で6回目のワークショップになるんだけど。」

その日もやっぱり季節はずれの薄着をした私は、手を休め「人が食事をするとき、おいしいって感じるときに使う感覚の90%は視覚だって本で読んだことある。こういう話のときによく出てくると思うけど、視覚が機能しない場合、他の感覚が際立ってくるって事よね。臭覚や、聴覚が。Yさん今まで見てきて何が1番おもしろかった?コミュニケーションはみんなどうとってるの?」

「毎回違う設定でやってるから、ほんと色々だよ。でもさ、例えば普段飲み慣れているお酒が白ワインだったとするでしょ。視覚をっていう情報を奪われて白ワインだと思って飲んでたお酒が実は赤ワインだってことにいい意味ショックを受けてるわけ。今までの先入観や固定観念を揺さぶってるんだ。目隠しをしてまったく知らない人同士が同席するんだけど、マイちゃんとマリちゃんがいっしょに来ても席は離されるからね。'はじめまして'のその一言が出るまでほんと色々だよ。目隠しって言う特殊な状態で普段の自分から開放されている人もいれば、不安でしょうがない人もいる。しかもなんだかわからないものを食べるんだ。」

「私が体験した旅もそこが一番財産だな。先入観や固定観念のウォッシュアップ。生きるうえで不自由なことがあっても他の感覚やヒントやツールを人は見つけるんだよね。それドキュメントしてないの?何年もやっていくんだったら凄い研究になりそうだよ。例えばさ、同じテーブルの人はなんだかわからないものをいっしょに食べることで連帯感とか生まれるんでしょ。それってどういうセッティングするの?それだけ特殊な空間だからちゃんと音とかプレゼンテーションして欲しい。大人になるって経験してしまうことが増えて新しいことに出会えないって思いがちだけどそんなこと無いんだよね。私まだ真っ暗な中で食事したこと無い!」

Yさんは白ワインを一口喉に流し込むと

「機会があったら体験してみて。誘うから!」

それから1ヵ月後、お誘いに預かりました。

つづきはまた今度。



Try get new print of life!

ciao!

MariMari